






2012年にしてきなしごとから発行されたリトルプレス第1弾の詩集で、詩人・ウチダゴウの代表作。寓意性が高く、スリリングなユーモアで溢れた、独創的なショートストーリーのような詩16編を綴じた本作は、次第に好評を博し、ついに完売・絶版となった。長い沈黙ののち、続編となる詩集『原野の返事』( https://bit.ly/3oPcxa6 )の出版と同時に、再版を望む声に応え、用紙や印刷手法の変更や細かなデザイン改変を加えて、『空き地の勝手』第2版の発行も決定。
[ 内容 ]
神様の旅 / 登山家と炭坑夫 / 窓ふきの海 / 痴呆老人の幸い / ウェイターの仕事 / うそ / 期待の新星 / スキーヤーはくだる / 空き地の総理 / 真魚板の上の鯉 / 孤独の一生 / 多様な鳩 / 気分屋 / ミスター・サカモト / さよならヒーロー / だれか(全16編)
著:ウチダゴウ
写真:伊藤菜衣子(暮らしかた冒険家)
発行:してきなしごと
印刷:藤原印刷
製本:ダンクセキ株式会社
2012年1月21日初版
2020年6月20日第2版
サイズ 210mm x 135mm
無線綴じ / 52P
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✴︎ 1冊の売上から100円を、10代の子どもたちに ✴︎
一見裕福に思える日本にも、災害や貧困、過疎、家庭環境など、様々な要因によって、自らを開花させる機会さえ得られない子どもたちが多くいます。あるいは、十分な環境が整っているにもかかわらず、小さな小石に躓いたことで、自分の可能性を自ら虐げ、投げやりな日々を過ごす、子どもたちの瞳や声や姿を、時代の端々に感じることがあります。
偶然にも遭遇した環境によって、その機会すら摘まれてしまうこと、そして、自ら諦めてしまうことは、彼らの人生にとっても、世界の未来にとっても、あまりに惜しい。してきなしごとの開業以来、詩を通じて、しかし、ただの表面的なエールではない、実効的な方法で、さらに、ぼく自身だけでなく、ぼくの詩を好いてくれる皆さんも巻き込んで、こうした子どもたちに寄与することはできないか、ずっと探していました。
2020年4月、してきなしごとは、開業10周年を迎えました。その記念すべき年に、詩集『原野の返事』の出版、また詩集『空き地の勝手』の再版を計画したとき、このチャンスを逃すまいと、ぼくは思ったのです。
詩集『原野の返事』、詩集『空き地の勝手』の売上から、1部につき100円を、“どんな環境に生まれ育った10代も、未来をつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指す” 認定NPO法人カタリバに寄付します。活動内容は多岐に渡るので、ぜひウェブサイトをご覧ください。
この2つの詩集は、ぼくが書籍化した本のなかで、社会に対するメッセージがとても強く表現された詩集です。ここ数年のぼくの作品だけを知る人は、驚くかもしれません。執筆したそれぞれの時代の下で、世の中に対し、ぼくが感じた違和感や問題意識、憤りや悲しみを、それでも愛することはできないかと、ブラックユーモアの手法で何とか表現しようと試みた詩が、綴じられています。
その営みは、まさに、それでも未来を愛そうとする「意欲」と、そのために今を生きよう、目の前の難局を打破しようとする「創造性」によるものです。支援に繋げる書籍として、相応しい2冊だと感じ、この詩集の出版を通じた寄付に思い至りました。
個人規模で活動するしてきなしごとにとって、毎月売上数を計算し寄付するのは事務作業が煩雑で、困難なため、合計発行部数1000部×100円=10万円を、一括して、ぼくが、あらかじめ寄付しました。今後、もし皆さんが、この2冊の詩集を購入してくださったなら、その代金のうち、100円が、今この国のどこかで暮らしている、可能性に満ちた10代の子どもたちの支援に繋がっていると、感じていただけると嬉しいです。
皆さんが詩を楽しむことで、子どもたちの可能性を守り、切り開くことができる。今回の2作品に限らず、この循環を、してきなしごとの作品を通じて、これからも創ってゆけたらと考えています。
2020年6月
してきなしごと代表 ウチダゴウ